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相続税還付とは|払い過ぎの理由から手続方法・税理士の選び方を解説

相続税は、相続が発生してから10ヶ月以内に納付しなければなりません。突然の事態に十分な対応ができず、相続税を払い過ぎてしまうケースもあるでしょう。

「相続税を払い過ぎていたらどうすればいい?」

「期限や手続き方法を知りたい」

「相談はどこにすればいい?」

この記事では、相続税を払い過ぎてしまう理由と還付の手続き方法について詳しく解説します。正しい税理士の選び方などもご紹介するので、相続税の払い過ぎを心配される方は参考にしてください。

相続税還付とは

過去に相続税を払い過ぎていた場合、更正請求により国から返金してもらえます。そのことを「相続税還付」と呼び、相続開始から5年10ヶ月以内が請求期限となっています。

国税庁の統計情報によれば、年間10億~20億の還付金が発生しています。

還付金金額対象人数一人当たりの金額
令和元年22億9600万円643人357万円
令和2年12億2000万円564人216万円
参照:国税庁|統計情報

しかも一人平均200~300万円の還付を受け取っている計算です。ただし相続税の還付は、申請をしないと受けることはできません。

相続税を払い過ぎてしまう理由

相続税を払い過ぎる理由としては次のような理由があります。

  • ● 相続税を多く納めても税務署から連絡がこない
  • ● 土地の評価が複雑すぎる
  • ● 相続税に詳しくない税理士による計算

順に詳しく見ていきましょう。

相続税を多く納めても税務署から連絡がこない

相続税は自己申告納税制度のため申告内容が正しい前提で処理されます。また税務署は不足分の調査と請求をおこないますが、過払い分については通知してきません。

多く納めた相続税は、納税者本人が再計算し、還付請求を行う必要があります。

土地の評価は複雑

相続税のなかで還付が多く発生しているのが土地の相続です。原則的な土地の評価方法はあるものの,

実際の土地評価は複雑で難解です。

土地の相続の際には、国税庁が毎年7月1日に発表する「路線価」を基に相続税評価額を計算するのが基本ですが、土地の形や周囲の状況によって減額が可能な場合もあります

例えば次のような場合、評価額の減額の可能性が高くなります。

  • ● 傾斜や高低差がある土地
  • ● 日当たりが悪い土地
  • ● 線路沿いの土地
  • ● 高圧線下にある土地
  • ● 広大地(周囲に比べて広い土地)
  • ● 形がいびつ・不整形地
  • ● 埋蔵文化財包蔵地
  • ● 神祠や墓地がある土地
  • ● 実測面積が異なる土地

単純に路線価だけでは計算できない要素があり、状況に応じて適切な価格補正を行う必要が生じます。適切な評価のためには、評価する人の知識や経験が重要です。

相続税に詳しくない税理士による計算

納税に関して税理士はプロですが、税理士よって得意分野が異なります。一般的な税理士の業務は、法人の会計処理や税申告または所得税の計算や確定申告などです。

もともと相続税に関する業務は、発生件数自体が少ないため、相続業務の経験があまりない税理士も少なくありません。

特に土地相続に関しては、経験と専門知識が重要です。土地相続に詳しくない税理士に依頼した場合、適切な土地評価ができず、必要以上の相続税を納めてしまう事態も起こり得ます。

相続税が還付されるケース

相続税が還付されるケースは次のようなケースです。

  • ● 土地の相続税評価のミス
  • ● 相続税の特例などの適用ミス・計算ミス

相続税申告にミスがないか、ご自身に当てはめて見てみましょう。

土地の相続税評価のミス

土地は形状や周囲の環境によって評価額を下げられます。実際に土地を調査してみないと分からない部分もあり、正しい土地評価や相続税の計算には、さまざまな要素を加味する必要があります。

担当税理士の不動産に関する知識や経験が重要ですが、できれば不動産鑑定士や土地家屋調査士と連携をとれる税理士が望ましいでしょう。

相続税の特例などの適用ミス・計算ミス

相続税には様々な特例や非課税枠などがあります。非課税枠を利用せず申告した場合は、相続税を払い過ぎてしまう事態に陥ります。特に税理士などを通さず個人で納税をおこなった場合は、ミスの可能性が高いかもしれません。

控除や減税特例には次のようなものがあります。

基礎控除3000万円+法定相続人×600万円
非課税財産死亡保険金・死亡退職金・墓地・仏壇・寄付
小規模宅地等の特例故人の自宅・故人が経営していたアパート・故人のかかる同族会社に貸している土地など条件を満たせば80%減額
中小企業の株式の相続税の納税猶予子どもが引き続き会社を経営する場合などの条件を満たせば80%減額
配偶者の税額控除1億6000万円までの遺産は控除
未成年者の税額控除20歳に達するまでの年数×10万円を免除
障がい者の税額控除85歳に達するまでの年数×10万円を免除
相次相続控除立て続けに相続が発生した場合、その一部を免除
贈与税額控除贈与された人1人あたり年間110万円まで非課税

それぞれの控除には条件があり、適応できるかは専門家でなければ分からない部分も多いでしょう。

特に税理士を通さず納税をおこなった場合は、控除や減税特例の見落としがないかを見直してみるといいかもしれません。

相続税還付の流れ

払い過ぎた相続税を還付してもらうには、手続きが必要です。一般的に次のような流れとなっています。

  1. 1. 提出した書類の見直し
  2. 2. 「更正の請求」の書類を提出
  3. 3. 還付金の振込

順に見ていきましょう。

提出した書類の見直し

まずは税金の払い過ぎを確認する必要があります。提出した書類を見直し、土地や不動産の評価額を調べましょう。

実際の不動産価格よりも申告評価額のほうが高いと判明した場合は、還付の可能性があります。土地の評価を適切にできる税理士に相談するなど、再計算を依頼しましょう。

「更正の請求」の書類を提出

相続税を多く納めていることが判明したら「更正の請求」のため必要書類を税務署から受け取り、作成後に提出します。

「更正の請求」に必要な書類は次の3つです。

  1. 1. 修正した相続税申告書
  2. 2. 更正の請求書
  3. 3. 修正の事実を証明する資料:土地の評価資料一式・遺産分割協議書の写しなど

税務署に書類を提出したのち約3ヶ月後に結果が記された「更正決定通知書」が届きます。「更正決定通知書」は正しく還付の請求が受け付けられたことを意味しているので、ひとまず安心してください

更正決定通知書が届くまでの期間は、早ければ3ヶ月ですが最長で半年かかる場合もあります。

還付金の振込

更正決定通知書が届いた約1ヶ月後に「国税還付金振込通知書」が届きます。その2週間後には、指定の口座に還付金が振り込まれるでしょう。

念のため、通帳記帳や出入金明細を確認しておくと安心です。通知書の金額と実際に振り込まれた金額を照らし合わせて確認しましょう。

相続税還付を行うときの税理士の選び方

相続税還付を行う際には、税理士選びがポイントです。その際は、以下の点に着目するとよいでしょう。

  • ● 相続税に詳しい税理士を選ぶ
  • ● 不動産鑑定士と連携が取れる税理士を選ぶ

順に見ていきましょう。

相続税に詳しい税理士を選ぶ

税理士の通常業務は、企業や個人に対して法人税や所得税などの各種納税のアドバイスや申告書を作成することです。そのほかに会計業務のサポートや経営のコンサルティングなどにも対応しています。

しかし相続は、人生に一度が二度くらいしか起こらないライフイベントです。そもそも相続税を専門にしている税理士は少なく、未経験だったり経験が浅かったりする場合も少なくありません。

相続税の還付を考えているなら、できるだけ相続税に詳しい税理士を選びましょう。特に土地や不動産相続に詳しい税理士がおすすめです。

不動産鑑定士と連携が取れる税理士を選ぶ

相続税に関する知識や経験はもちろんですが、土地や不動産の相続には、不動産鑑定の知識も必要です。しかし税理士は不動産の専門家ではありません。

複雑な土地鑑定に対応するためには、不動産鑑定士と連携が取れる税理士がいいでしょう。大きな税理士事務所のなかには不動産鑑定士を雇っているケースもあります。

相続税還付の手続きを二度手間にしないためにも専門家に相談を!

相続税還付の申請を行うときは、土地や不動産の評価額の見直しが必要です。そのため不動産に強い税理士に依頼しましょう。

「ひろしま相続・不動産ホットライン」では、相続専門の税理士と不動産鑑定士が連携し、不動産相続に関する対策や手続きを行っています。さらに一級建築士と土地家屋調査士ともタッグを組んで土地評価額の減額ができる仕組みを整えています。

「相続税を払い過ぎたかも」「還付について相談したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。電話で直接、もしくはお問い合わせフォームにて受け付けております。

【ひろしま相続・不動産ホットラインに相談する】

監修者
棚田秀利
税理士