遺産相続の種類や手続きまとめ|子や孫が分配で揉めない対策も解説
被相続人の遺言が無い場合、遺産は親族同士で話し合って分けることになります。自分の子供や孫が遺産で揉める未来は一般的に望まないものですが、現実として、誰が何を相続するかでトラブルになることも少なくありません。
本記事では遺産相続にあたって、どのような準備が必要かつ有効か解説します。遺産を相続する立場の人も、相続させる立場の人も本記事を参考に、スムーズで円満な遺産相続を目指しましょう。
相続開始はいつなのか
相続開始のタイミングは、厳密に定義すると被相続人の死亡時点からです。遺産相続の手続きでは「〆切は相続開始より〇日以内」などの表現が頻出しますが、それらはすべて「被相続人の死亡日より〇日以内」と言い換えられます。
一般的な自然死以外の死亡、及び死亡とみなすケースについては以下の通りです。
名称 | 状況 | 相続開始のタイミング |
認定死亡 | 事故や大規模災害などにより、遺体などは無いものの死亡の可能性が極めて高い場合 | 調査に当たった警察などが死亡認定を自治体に報告した時 |
失踪宣告 | 行方不明になり、その後の消息がまったく掴めない場合 | 最後に誰かが消息を確認(姿を見かける・連絡を取るなど)してから7年が経過した時 |
なお、失踪宣告は失踪者と法律上の利害関係のある人が申請を行うことで認定されます。自動で申請されるわけではないため、申請しないことも可能です。
ただし、失踪宣言を行わないまま利害関係者が死亡すると、利害関係者の相続人も遺産分割協議の参加者に入ります。結果として相続人の範囲が広がるため、話がより複雑になりがちです。
遺産相続のスケジュール早見表
被相続人の死後、遺産相続の手続きをスムーズに行うためには、しっかりしたスケジューリングが必要です。遺産相続にあたって行うべき手続きは複数あり、期限が設定されているものもあるためです。
以下のスケジュールを参考にして、今自分が何を優先して行うべきかの確認に役立ててください。
上記スケジュールにおいて、期限の項目に「程度」と書いてある手続きは、締め切りではなく目安の期間を記載しています。
*が付いている項目は、遺産相続に関して特に重要な手続きです。できる限り準備をしておき、直前になって慌てないで済むようにしましょう。
遺産相続の前に確認しておくこと
遺産相続の前に遺族が確認しておくべきことは「遺言書」と「相続人」です。
遺言書とは、生前の被相続人の意思を文書として残したものです。一般的には遺産の行方が記載されていますが、私生子の認知など他のことが記されているケースもあります。相続人とは遺産を引き継ぐ人のことで、一人とは限らず、複数人が該当するケースも珍しくありません。
もしも遺言書が残っておらず、遺産の行方がスムーズに決定できなければ、遺産分割協議を行い結論を出します。
遺言書の確認
遺言書の有無と検認手続きをするのが、遺言書の確認です。検認とは、遺言書の内容を確認するとともに、偽造や改ざんを防止する手続きのことです。
まずは遺言書を探しましょう。後から見つかると手続きがより複雑になってしまいます。「無いだろう」と思い込まず、しっかり探すことが重要です。
遺言書は具体的に以下の3つに分かれており、それぞれ保管場所や扱い方が異なります。
【遺言書の種類と特徴】
遺言書の種類 | 保管場所 | 扱い方 |
公正証書遺言 | 公正役場 | 検認不要 |
秘密証書遺言 | 公正役場 | 家庭裁判所にて検認し内容確認 |
自筆証書遺言 | 法務局 (令和2年7月より預かり制度開始) | 検認不要 |
公正役場と法務局には、遺言書を保管できるシステムがあります。公正証書遺言は公正役場に、自筆証書遺言は遺言保管所にそれぞれ問い合わせれば、遺言書の有無を教えてくれます。
法務局に預けていない自筆証書遺言は、被相続人がしまいそうな場所を探さなければなりません。生前の被相続人の近くにあるとは限らず、銀行や人に預けているケースもあります。
秘密証書遺言、および遺言保管所にない自筆証書遺言は、見つかっても慌てて開封してはいけません。内容を知るには、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。勝手に開けると改ざんを疑われたり、場合によっては処罰を受けることもあります。
相続人の決定
相続人の決定作業は、遺言書の有無によって行うことが変わります。
遺言書があり相続人が明記されている場合は、指示に従うだけで良く、特に行うことはありません。しかし遺言書が無いのであれば、法で指定された相続人達が集まり、話し合って相続人を決定する必要があります。法で指定された相続人を「法定相続人」、話し合いのことを「遺産分割協議」と呼びます。
遺産分割協議の注意点は、法定相続人が全員揃っていなければ協議結果が法的に無効となってしまうことです。そのため、協議前に存命の法定相続人を調査することが重要です。
法定相続人の範囲・順位
法定相続人の範囲は民法で定められており、具体的には以下のとおりです。
法定相続人は、遺産相続にあたって民法で順位が決まっています。協議がまとまらなかった場合、定められた順位に沿って相続人が決定されます。
被相続人の配偶者は、常に相続する権利を持つ立場です。配偶者しか家族が居なければ配偶者がすべてを相続し、他の親族が居たとしても配偶者はいくらか分けられます。
相続順位は以下のとおりになっています。該当者がいなければ、徐々に相続権の順位を落としていく流れです。
- ● 第1位:子供や孫といった子孫
- ● 第2位:祖父母など直系の尊属
- ● 第3位:兄弟及び兄弟の子孫
なお、養子であっても相続の権利は発生するため、忘れず確認しましょう。また、仮に該当者が胎児であっても、法的には生まれた者として扱われるため法定相続人とみなされます。
法定相続人が居ない場合
被相続人に法定相続人がおらず、遺言書も無いという場合も少なくありません。そのようなときは、利害関係者が家庭裁判所に申し立てを行うことで相続財産管理人が選定され、遺産が処理されます。
具体的には、以下の流れのようになります。
簡単に言うと、相続管理人が手続きを進めるかたわら、法定相続人の捜索が並行して行われるイメージです。
1回目の捜索で見つからなければ、2回目の捜索と同時に、相続管理人は相続債権者や受遺者の請求を受け付けます。被相続人にお金を貸していた人や、何らかの料金を未払いにされた人などの請求を受け付け、遺産より払っていく流れです。
3回目の捜索公告で見つからない場合、内縁の妻など特別の縁故がある人は、財産分与の申し立てが可能となります。申し立てが受理されると特別縁故者が財産を受け取り、却下されると財産が国のものとなります。
遺産分割協議
遺言書が無く法定相続人がいる場合は、遺産分割協議にて遺産の行方を話し合います。
遺産分割協議では法定相続人が全員出席しており、かつ全員の合意がなければ、協議終了と認められません。ひとりでも協議から除外されていたり、協議の結果に反対すると協議続行となります。
しかし協議を行っても話がまとまらず、長引いてしまうことも少なくありません。遺産分割協議に期限はありませんが、あまりに長引くと遺産の紛失が起こったり、死去・誕生などによって法定相続人が変化したりと、より話が複雑になることもあります。
遺産分割協議の長期化を防ぐためには、遺言書をあらかじめ作成しておいたり、第三者に間に入ってもらったりすることが有効です。「誰に頼めば良いのかわからない」という場合はぜひ、ひろしま相続・不動産ホットラインにお問い合わせください。相続のプロであるスタッフが、お客様のお力になります。
相続の対象となる遺産の種類
遺産とひとくちにいっても、種類はさまざまです。具体的にどのようなものがあるのかを、以下の表にまとめます。
【相続の対象となる遺産】
正の遺産(相続人にとってプラスになるもの) | ・現金・預金 ・外国通貨 ・不動産(自宅用の建物と土地、賃貸用の建物と土地、店舗、田畑など) ・有価証券(株式、投資信託、公社債など) ・債権(売掛金、貸付金、立替金、被相続人が受取人の生命保険金請求権など) ・借家権・借地権 ・家庭用財産(車、家具、宝石、骨とう品など) ・ゴルフ会員権 ・船舶・飛行機など ・仮想通貨(暗号資産) ・知的財産権(特許権・著作権など) ・慰謝料請求権・損害賠償請求権 ・電話加入権 など |
負の遺産(相続人にとってマイナスになるもの) | ・借金(ローン、クレジットカードの未決済分) ・買掛金 ・各種未払い金(医療費、水道光熱費、税金、家賃、地代、慰謝料、損害賠償金など) ・預り金(敷金、保証金など) ・保証債務 |
一般的には遺産という言葉だけ聞くと、お金や土地のようなもののイメージがあり、良いものと考えられがちです。しかし実際には借金などの負の遺産も相続の対象であり、必ずしも貰えて得をするとは限りません。
また、遺産の正確な把握は、被相続人本人でなければ困難です。被相続人が亡くなってからの調査となると、時間や労力がかかるため、可能であれば生前の健康な間に調べておいた方が良いでしょう。
遺産相続の対象外になるもの
遺産のように思えても遺産ではなく、相続の対象外になるものもあります。具体的には下記のとおりです。
【遺産相続の対象外となるもの】
- ● 遺族給付
- ● 賃貸物件の家賃、株式の配当など
- ● 一身専属的な権利・義務
遺族給付は遺族の権利であり、被相続人の所有財産ではありません。したがって遺産とはみなされず、遺族だけが受け取れる資金になります。
賃貸物件の家賃や株式の配当なども、遺産に該当しません。被相続人が死亡した時点で確定していない利益は、被相続人の所有財産とみなされないためです。しかし現実問題として利益は発生するため、遺産分割協議などで誰が受け取るか決定することになります。なお、遺言書に指示がある場合はそれに従うことになります。
一身専属的な権利・義務とは、その性質上個人のみにかかっており、他人に引き継ぐことができない権利や義務のことです。生活保護や年金の受給権、国家資格などがこれに該当します。例えば被相続人が生活保護受給者であったとしても、遺産の相続人が自動的に生活保護受給者になれる、というわけではありません。
遺産にはなるが遺産分割協議の対象外になるもの
特殊なものとして、遺産にはなるものの遺産分割協議の対象にならないものもあります。宗教的・祭祀的な要素を持つ遺産です。具体的には以下のようなものが該当します。
- ● 墓地・墓石
- ● 仏壇・仏具
- ● 神棚
- ● 神具
- ● 系譜
これらの遺産は民法により、選定された祭祀主宰者(祭祀承継者)が、ひとりですべてを引き継ぐことと定められています。祭祀主宰者は被相続人が指定するケースもあれば、親族で話し合って決定するケースもあります。
遺留分とは
遺留分とは、被相続人の配偶者や子どもなど、ごく近しい間柄の者に最低限保証される遺産の割合のことです。民法によって定められており、具体的な該当者は以下の通りです。
- ● 配偶者
- ● 子孫(直系卑属)
- ● 祖先(直系尊属)
被相続人の兄弟は入らないため、注意が必要です。
もし遺言書などが残っており、上記の該当者に相続させる遺産が無いという内容であった場合、遺留分を侵害されたとして、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)を行うことができます。
ただし、請求は遺留分侵害を知ってから1年以内と定められているため、後回しにしていると請求できなくなってしまいます。また、請求後は話し合い→調停→訴訟と段階を踏んで進んでいくため、請求したからと言って即時遺産が貰えると限ったわけではありません。
なお、遺留分は該当者の権利であり義務ではないため、放棄も可能です。
相続税の対象となる遺産の種類
遺産によっては、相続時に相続税がかかるものもあります。具体的には以下の遺産が該当します。
- ● 相続・遺贈によって得た財産
- ● みなし財産
- ● 相続開始から3年以内の贈与財産
借金など負の遺産がある場合は、預金や現金といった正の遺産から差し引きすることも可能です。ただし差し引き可能な負の遺産は、弁済が確実と認められるものに限定されており、保証債務や連帯債務は差し引きできないケースもあります。
相続・遺贈によって得た財産
相続・遺贈によって得た財産とは、遺産として相続されるもののうち、経済的価値を有しているものが該当します。
現金や預金だけでなく、土地や建物のような不動産や宝石、自動車なども相続税の課税対象となります。また、ある程度は計算が簡略化されますが、家具も評価可能な課税対象物です。特許のような知的財産権も含まれるため、忘れずに評価額を調べましょう。
また、「自らが死亡したときは○○に××を譲る」などと遺言書に記載があった場合、遺言書のとおり該当者は無償で指定された財産を譲り受けることができます。これを遺贈と言いますが、遺贈によって引き継がれる遺産であっても、相続税がかかる点は変わりません。
さらに、「私が死んだら○○を譲る」と生前から二者間で約束を取り交わしていた場合は、死因贈与と呼ばれる行為に当たります。これも贈与には違いないため、相続税の課税対象となります。
なお、祭祀主宰者が引き継ぐ仏壇や墓地などは相続税の対象外です。
みなし財産
みなし財産とは、民法上財産ではないものの、相続税法上財産とみなされる遺産です。一般的には以下のようなものが該当します。
【一般的なみなし財産】
- ● 生命保険金
- ● 死亡退職金
- ● 定期金の権利
- ● 債務免除
生命保険金、死亡退職金ともに、被相続人の死亡によって初めて発生する財産です。
定期金の権利とは、生前被相続人が個人年金を積み立てており、月に一定額を受け取れるようにしていたケースなどに適用されます。このような場合、被相続人が死亡したからといってお金の支払いが止まることはないため、誰かが代わりに月に一定額を受け取れるようになるわけです。ただし国民年金や厚生年金は該当しません。
債務免除とは、被相続人に対する債務が免除されることを示します。たとえば被相続人にお金を借りていて、遺言書で「返さなくとも良い」などと記載があった場合、借りたお金はそのままもらったとみなされ課税対象になるのです。
相続開始から3年以内の贈与財産
被相続人の遺産相続開始より、3年以内に贈与された財産にも相続税は適用されます。
生前に無償で個人から個人へ財産を譲り渡す行為を生前贈与と呼び、相続税でなく贈与税がかかります。贈与税の税率は相続税より低いため、遺産相続の税金対策として生前贈与を行う人は少なくありません。
しかし遺産相続開始より3年以内に譲り渡された財産は、生前贈与で譲られた財産であっても相続財産とみなされ、相続税の税率で税金を計算する必要があります。
人がいつ亡くなってしまうかは正確に予測できません。そのため、どの財産が相続開始から3年以内の贈与に当たるかを被相続人の死亡より逆算して調べていきます。また、贈与税としていくらかはあらかじめ払っているため、実際に払う税金は相続税と差し引きして計算します。
相続時精算課税制度と生前贈与の違い
相続時精算課税制度とは、生前贈与した財産に対し贈与税を免除して、被相続人死亡時に相続財産として相続税を払うという制度です。生前贈与との違いは以下のとおりです。
相続時精算課税制度 | 生前贈与 | |
税の計算方法 | 2,500万円以上の財産には、2,500万円を超えた分に一律20%の贈与税をかけて支払う被相続人死亡時は贈与された財産+相続した財産を合計し、相続税を計算して支払う財産の価値が変動する場合、贈与された時点での価値で計算される | 被相続人死亡より3年以内の財産に対しては相続税を払う被相続人死亡より3年以上昔の場合は贈与税を払う |
メリット | 累進課税となる通常の贈与税と比較すると、高額の財産ほど節税になる | 1回の贈与が110万円以下であり、かつ贈与者が贈与より3年以上存命の場合は、税がかからない |
デメリット | 申告や贈与を忘れると、制度を利用していないとみなされ、通常通りの税計算となる小規模宅地等の特例の適用を受けられない | 高額の生前贈与を行うと、贈与税が額に応じて高くなる |
制度の利用準備 | 制度の利用を申告する必要がある一度申告すると元の制度には戻れない | 特に準備として行うことは無い |
制度の利用条件 | 贈与者が60才以上被贈与者は18才以上かつ直系の子孫 | 特に条件は無い |
おすすめの人 | 一度に高額の財産を譲りたい価値が時間と共に上がっていく性質の財産を有している | 複数回に分けて少しずつ財産を譲りたい |
節税という意味でもっとも異なる点は、相続時精算課税制度を利用した場合、課税対象額が高額でも税率が変化しない点です。
例として、5,000万円の贈与を行ったとすると、贈与税に下記のような違いが出ます。
- ● 相続時精算課税制度:(5,000万-2,500万)×20%=500万
- ● 生前贈与:(5,000万-400万)×55%=2,530万
一方で相続時精算課税制度には、一度利用を始めると元に戻せないなどのリスクもあります。自分の状況を踏まえた上で、どちらが適しているのか検討しましょう。
相続の種類
相続とひとくちに言いますが、厳密には相続の方法に種類があります。具体的には、以下の3つです。
- ● 単純承認
- ● 限定承認
- ● 相続放棄
それぞれ相続の形が違うため、遺産や相続人自身の状況を踏まえて、もっとも良い方法を選びましょう。
単純承認
単純承認とは、シンプルに割り当てられた遺産をすべて相続する方法です。
正の遺産だけでなく、借金など負の遺産も含んで引き受けることになります。そのため、結果として損にならないかどうか、よく調べてから決定するのがおすすめです。
限定承認
限定承認とは、正の遺産を上回らない範囲で負の遺産も相続する方法です。
正の遺産と負の遺産を比べ、負の遺産の額が正の遺産より大きい場合、単純承認で相続すると差し引きで借金などだけが残ってしまいます。差額は、相続人が自分で支払わなければなりません。
しかし限定承認であれば、正の遺産と差し引き0になる分までの額で済むため、自分の財産を支払いに当てる必要はありません。差額の負の遺産は、「相続放棄した」という扱いになります。
なお、限定承認は相続人全員の合意が必要であったり、手続きがやや煩雑であったりするため、行いたい場合は早めの準備をおすすめします。
相続放棄
相続放棄とは単純承認と真逆であり、正の遺産も負の遺産もすべて相続しない方法です。手続きは特に不要であり、放棄の意志を示すだけで構いません。
繰り返しになりますが、相続放棄を選ぶと正の遺産も含めて放棄してしまいます。遺産の状況を良く調べてから決定しましょう。
遺産相続の手続きに必要な書類
遺産相続の手続きに当たっては、目的に応じてさまざまな書類が必要になります。一般的に必要となるのは遺言書・遺産分割協議書・不動産相続登記書類・相続放棄書類の4種類ですが、さらに掘り下げると下記の書類が必要になります。
【遺産相続の手続きに必要な書類】
【遺言書(公正証書遺言の場合)】
必要書類 | 備考 |
遺言書 | |
遺言者の本人確認資料 | 運転免許証や印鑑登録証明書、マイナンバーカードなど |
遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本 | |
受遺者の住民票 | 相続人以外に遺贈する場合 |
固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書 | 相続遺産に不動産がある場合 |
不動産の登記簿謄本 | 遺言で不動産を特定する場合 |
証人予定者の氏名・住所・生年月日・職業のメモ | |
遺言執行者の氏名・住所・生年月日・職業のメモ | 相続人・受遺者以外に設定する場合 |
【遺産分割協議書(公正証書とする場合)】
必要書類 | 備考 |
遺産分割協議書 | |
相続人全員の印鑑証明書と戸籍謄本 | |
被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本・改正原戸籍、除籍謄本など | |
不動産登記簿謄本と固定資産税評価証明書 | 相続遺産に不動産がある場合 |
預貯金の通帳または残高証明書 | |
有価証券の残高証明書、生命保険の解約返戻金証明書 | |
借入先の残高証明書 |
【相続登記】
必要書類 | 備考 |
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本 | |
被相続人の住民票の除票 | |
相続人全員の印鑑証明書 | |
相続人全員の住民票 | |
不動産の固定資産評価証明書 | |
不動産の全部事項証明書 | |
遺産分割協議書 |
【相続放棄】
必要書類 | 備考 |
相続放棄申述書 | |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | |
申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本 | |
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 | 配偶者・子・孫が相続放棄する場合 |
被代襲者(被相続人の子)の死亡記載のある戸籍謄本 | 孫が相続放棄する場合 |
被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本 | 親・祖父母が相続放棄する場合 |
被相続人の子・孫の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本 | 親・祖父母が相続放棄するにあたり、被相続人の子・孫が亡くなっている場合 |
被相続人の親(父・母)の死亡記載のある戸籍謄本 | 祖父母が相続放棄するするにあたり、被相続人の親が亡くなっている場合 |
兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本 | 被相続人の兄弟も死亡している場合 |
上記のすべてが必要なわけではありませんが、必要書類を揃えるのは骨の折れる作業です。中にはただ取得する書類だけでなく、新たに作成しなければならない書類もあります。
自分達だけでできそうにない、と判断した場合は専門家に任せるのがおすすめです。ひろしま相続・不動産ホットラインでは、必要書類の洗い出しから作成まで対応しております。書類のことでお悩みの際も、お気軽にお問い合わせください。
子や孫が遺産相続で揉めないための対策
子や孫に遺産相続で揉めて欲しくない場合、できる限り被相続人の生前に対策を打つことが大切です。以下の方法であれば、特に相続に詳しい人でなくとも実行可能です。
【遺産相続で揉めないための対策】
- ● 遺言書の作成
- ● 家族信託の活用
- ● 相続に関わる家族会議
遺言書の作成
遺言書の作成は、遺産相続のトラブル回避に有効といえます。遺産相続にあたって、もっとも強い強制力を持つのは法的に有効な遺言書であるためです。
極端な例ですが、遺言書に遺産の行方がきっちりと明記してあった場合、子や孫を含む相続人は遺言書に従うだけで良いのです。仮に不満を持つ人が一部居たとしても、遺言書をくつがえすことはできません。
一般的に揉めるのは、遺産の分配について話し合うときです。しかし分配まで記された詳細な遺言書を作成することにより、話し合いそのものを最初から発生させないということが可能です。
家族信託の活用
遺産相続で揉めないためには、家族信託も効果的です。
家族信託とは、財産管理の権限をあらかじめ家族に与えておくことです。贈与と異なり財産の所有者はあくまで被相続人のままですが、管理・運用は指定された家族が行います。被相続人の死亡だけでなく認知症や寝たきり状態などにも備えられ、預ける先も信頼できる身内を選べるため、安心に繋がるでしょう。
家族信託のメリットは、財産の所有者が元気な状態で財産の行方を見届けられることです。相続人も家族信託を経て、自分に何が相続されるのかイメージできるため後から揉める可能性は低くなります。
ただし、家族信託の実績は遺言書ほどの効果は持たないため、遺言書にも財産の扱いを記載しておいた方が確実です。
相続に関わる家族会議
前もって相続のことを家族会議で話し合っておくのも、後から揉めないために有効です。
大きなメリットは、被相続人を交えて話し合いができることです。遺産相続において強い発言権を持っているのは、話し合いの結果を遺言書に記載できる被相続人となります。揉めたとしても被相続人の意見が最終的には優先されるため、結論が出やすいのです。
遺産分割協議で分配に揉めてしまうのは、最終決定できる被相続人がその場に不在であるためです。誰も取り仕切る権利を持たないため、意見がぶつかると結論が出にくくなってしまい、話し合いが長期化します。
人を集めるのが大変であったり、本人が存命の段階から死後の話をするのに抵抗を感じる人もいるでしょう。しかし被相続人が亡くなった状態で親族同士揉めごとになるよりも、早い段階で話し合った方が何かとスムーズです。
遺産相続で揉めたら法定相続で解決を
遺産分割協議がまとまらず、話し合いで解決しないと判断された場合は、法定相続で解決するのもひとつの方法です。
法定相続とは、遺産について法的に定められた方法で分配する相続方法のことです。前述した法定相続人に当てはまる人の中から、相続順位を元に財産を分配していきます。分配割合も決められているため、誰がどのくらい受け取るかを、法的根拠から決定することができます。
ただし、あくまでも法定相続は一番最後の手段、いわば奥の手です。遺言書があれば遺言書が優先されますし、遺言書がなくとも遺産分割協議がスムーズにまとまれば、法定相続は不要です。
遺産相続は話し合いが大切
遺産相続を揉めずに行う大切なポイントは、前もっての話し合いです。
被相続人の一般的な心理として、死後に親族同士で揉めて欲しくはないでしょう。同時に、できるかぎり多くの関係者に納得して欲しいという思いも、また自然なものです。
トラブル回避だけが目的であれば、被相続人が遺言書を残すことで解決します。しかし話し合いを行うことで、より多くの人の思いや意見を取り入れた結論を出し、結論に法的な有効性を持たせることができるのです。
ひろしま相続・不動産ホットラインでは、遺産分配後の相続登記に関する相談も受けてけております。「折角分配まではスムーズに進んだのに、相続登記をどうすれば良いかわからない」という方は、ぜひ弊社にご相談ください。