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土地建物を相続したときの手続きは?手続きの流れから必要書類まで解説!

土地や建物といった不動産を相続した場合、どのような流れで手続きをおこなえばよいかと疑問に思う方が多いでしょう。相続人や相続財産の確認・相続登記・相続税の申告と納付など、順を追って手続きしなければならないことが多くあります。

そこで本記事では、土地建物の相続手続きの一連の流れだけでなく、それぞれに必要な書類やかかる費用・注意ポイントまで詳しくまとめました。これから土地・建物といった不動産の相続手続きをする方は、ぜひ参考にしてください。

土地建物の相続手続きの流れ

土地や建物といった不動産の所有者が亡くなった場合、誰がどのように相続するかを明確にし、所有権移転の登記を行わなければなりません。土地建物の相続手続きの流れは、以下のとおりです。

  • ● 相続人や相続財産の確認
  • ● 遺産分割協議
  • ● 相続登記
  • ● 相続税の申告・納付

これらについて、詳しくみていきましょう。

相続人や相続財産の確認

土地や建物といった不動産を相続するには、相続人や相続財産を明らかにする必要があります。相続人・相続財産それぞれの確認方法は、以下のとおりです。

相続人亡くなった方の戸籍謄本
相続財産固定資産税課税明細書または・固定資産評価証明書

相続人は、配偶者・亡くなった方の子供・父母や祖父母などの直系尊属・兄弟姉妹となります。養子や婚外子も相続人になるため、戸籍謄本で確かめる必要があるのです。

相続財産については、年に1回送付されてくる固定資産税課税明細書で確認が可能です。固定資産税課税明細書が見つからなければ、市区町村の役所で固定資産評価証明書を取得することで確認できます。

ただし、複数の市区町村に土地や建物を所有している場合、それぞれの役所にて固定資産評価証明書の取得が必要です。

遺産分割協議

土地建物について記された遺言書がある場合、遺言書の内容に沿って相続登記の手続きを行うとスムーズです。しかし遺言書がない場合には、法定相続人で話し合い、遺産を分け合う必要があります

法定相続人とそれぞれの遺産の持分については法律で定められており、国税庁の「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」で法定相続分を確認できます。

法定相続分とは異なる持分の割合で相続したいとなったら、遺産分割協議をして遺産の持分を決定しましょう。遺産分割協議を用いて遺産を分ける場合、相続人にあたる全員が協議の結果に同意する必要があります。

相続登記

誰がどのように遺産を相続するか決定したら、相続登記を行います。相続登記とは、亡くなった方の名義で登記されていた土地建物の所有者を、相続人へと名義変更する手続きです。

不動産の相続登記には、登記事項証明書や相続人全員の戸籍謄本・固定資産評価証明書など、複数の書類が必要になります。相続人それぞれの住まいの役所や、不動産所在地の市区町村の役所で入手する書類もあるため、事前にしっかりと準備しておきましょう。相続登記に必要な書類の詳細は、後述します。

相続税の申告・納付

土地建物の相続登記が完了したら終わりではなく、その後は相続税の申告・納付を行わなければなりません。国税庁で定められている相続税申告書の提出期限と提出先は、以下のとおりです。

申告期限相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月目の日
提出先被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署
引用:国税庁|相続税の申告のしかた

相続税は土地建物の遺産の総額に対して算出されることとなり、それぞれの相続人が受け取った分の割合を納付します。電子納付やクレジットカード納付・金融機関や税務署の窓口納付が可能です。

相続した土地建物の分け方

複数の相続人がいる場合には、相続する土地建物を分けなければなりません。相続した土地建物を分ける方法には、大きく分けて以下の4つあります。

  • ● 現物分割
  • ● 代償分割
  • ● 換価分割
  • ● 共有名義

それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。

現物分割

土地建物の形状を変えず、現物のままの状態で分割する方法を現物分割といいます。例えば、Aさんは自宅不動産・Bさんは自宅意外に保有していた宅地といったように、不動産をそのままの形で分割する分け方です。

それぞれの土地や建物を相続人が1人で引き継ぐだけであるため、手続きは比較的かんたんになります。しかし、価値や大きさといった観点で不公平になりかねません。相続人全員が納得できず、トラブルになることも考えられるでしょう。

代償分割

代償分割とは、誰か1人が土地や建物といった不動産を相続する代わりに、ほかの相続人に対して金銭などを支払う方法です。本来、相続して得られる遺産分の代償金を金銭などで支払い、現物を相続しなかった相続人が不利にならないようにします。

例えば、自宅不動産を長男がすべて相続するとします。代償分割である場合、長男の兄弟である次男には、法定相続分に見合った金額を長男が金銭で支払うことになるのです。

山・土地建物が1つのみなど現物では分割しづらい場合に、代償分割が用いられることが多くなります。

換価分割

土地建物をすべて売却し、得た現金を相続人で分ける方法を換価分割といいます。誰も不動産の相続を望まない場合や、相続したのちの相続税が準備できないといった場合に多く用いられる方法です。

売却までに時間がかかる・売却にあたって譲渡所得税が相続税のほかにかかるといった注意点があります。しかし、現物分割や代償分割よりも公平に遺産分割をできる方法です。

共有名義

共有名義(共有分割)は、土地や建物を相続人同士で共有し相続する方法です。複数の相続人それぞれが所有している持分の割合を登記することとなります。

遺産分割を公平におこなえるメリットの一方で、デメリットも考えられます。売却・活用時に全員の同意が必要であるため、誰か1人と連絡が取れないというだけでスムーズな不動産活用はおこなえません

また、次の代へ相続する場合、相続人それぞれの子供の人数分、次の相続人が増え続けることになります。そのうちに誰が共有者なのかを把握することが困難になる可能性が高まります。

相続登記の方法

土地・建物の相続が決定した際には、相続登記が必要となります。相続登記の主な手順は、以下のとおりです。

  1. 1. 相続が決定した土地・建物(不動産)を確認する
  2. 2. 相続登記に必要な書類を準備する
  3. 3. 不動産が管轄されている法務局へ申請する

この中でも、ステップ2の相続登記に必要な書類、また相続登記にかかる必要について、詳しく解説します。

相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類は、大きく分けて戸籍関係の書類・登記関係の書類があります。誰のどのような書類が必要なのかわかりやすいよう、被相続人(亡くなられた方)と相続人(新しく登記名義人となる方)・その他に分け、必要書類を以下の表にまとめました。

被相続人(亡くなられた方)戸籍謄本(出生から死亡まで)・除籍謄本・本籍地記載の住民票除表または戸籍の附票
相続人(新しく登記名義人となる方、全員)現在の戸籍謄抄本・住民票・相関関係説明図・遺産分割協議書・印鑑証明書(有効期限なし)
そのほか登記申請書・固定資産税納税通知書など(固定資産税評価額がわかるもの)

上記は、遺産分割協議をおこなう場合に必要な書類となっています。それぞれの事情により上記以外の書類も必要な場合があるため、法務局や専門家に相談・確認してください。

法務局は全国に8ヶ所・地方法務局は42ヶ所あります。さらに、支局・出張所もあり、管轄の法務局は「法務局|管轄のご案内」にて調べられます。

相続登記にかかる費用

相続登記は、自身で登記手続きをおこなうか専門家に頼むかにより、かかる費用が異なります。相続登記にかかる費用は、主に以下のとおりです。

  • ● 登録免許税
  • ● 各書類の発行手数料
  • ● 専門家への報酬

登録免許税と各書類の発行手数料については、どのような方でも相続登記の際にかかる費用となります。

また、相続人が多く手に負えない・時間がない・手続きが難しく感じるといった場合には、税理士や司法書士・弁護士などに依頼する方もいらっしゃるでしょう。その場合には、専門家への報酬も必要です。

法務局では、登録免許税の計算誤りが増えているとして「登録免許税|計算のポイント」といった資料を提供しています。ご自身で手続きするのが難しいと感じた場合、誤った申請をしてしまわないためにも専門家へ相談することがおすすめです。

土地建物の相続税評価方法

土地や建物の相続をおこなったら、相続税の支払いが必要になります。相続税を計算するには、相続した土地・建物の評価額が必要です。

相続税の算出に必要な評価額は、不動産を購入した際の価格や建築費用から算出するのではありません。時価によって現在の不動産を評価することとなるため、時価での評価方法を知る必要があります。

土地と建物それぞれの評価方法について、みていきましょう。

土地の評価方法

土地全体の評価額を算出するには、路線価方式と倍率方式という2種類の方法があります。路線価方式とは、国税庁の土地の評価基準書で定められている「路線価図」に示された評価額を使用する方法です。路線(道路)に面している宅地1平方メートル当たりの価額が、地域ごとの路線価図に記載されています。

上記の路線価図で価額が記載されていない地域では、「評価倍率表」を使用して価額を調べます。

それぞれ方法で土地全体の評価額を計算するための計算式は、以下のとおりです。

【路線価を用いた土地の評価額の計算式】路線価 × 地積 × 補正率

【倍率方式を用いた土地の評価額の計算式】評価倍率 × 土地の固定資産税評価額

いずれの評価方法にしても必要情報を正しく入手し、上記の計算式に当てはめて評価額を算出しましょう。

建物の評価方法

建物の評価には、固定資産税評価額をそのまま用います。固定資産税評価額は市区町村から毎年送られてくる通知に記載されており、記載されている固定資産税評価額=相続税評価額です。

【建物の評価額の計算式】固定資産税評価額 × 1.0

万が一、手元に納税通知書がない場合、市区町村の役場の窓口で確認することも可能です。

土地建物の相続は色々と複雑!わからないことがあれば専門家に相談を

土地・建物を相続する際は、相続する不動産の割り振りだけでなく、その後の申請・相続税の納付までを行わなければなりません。所有不動産を正しく把握することから、相続登記のための書類の準備・登録免許税や相続税の計算まであるため、負担に感じる方も多いのではないでしょうか。

「ひろしま相続・不動産ホットライン」では、“相続に関わる、すべての人が幸せになる時代へ”と掲げ、相続専門税理士や不動産鑑定士など6名のプロフェッショナルが、相続問題を一貫してサポートしています。
土地・建物の相続において、相続人同士での分割方法や相続登記などにお困りでしたら、ぜひ「ひろしま相続・不動産ホットライン」までご相談ください。

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監修者 司法書士 糸原隆志 法務局登記官OB