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相続は税理士に頼む?相続手続きに税理士が必要な理由と選び方を紹介

相続が発生したとき、どの専門家に相談すればいいでしょうか。税理士なのか弁護士なのか、慣れていない人からすると、難しい問題です。結論から言えば、税理士に相談するのは、相続税の計算や節税などに困っている場合です。

この記事では、相続手続きに税理士が必要な理由と失敗しない税理士選びのコツを解説します。相続すべき遺産を持っている方、相続が発生したけど相談先がわからず困っているご遺族の方など、ぜひ参考にしてください。

相続手続きに税理士は必要

結論からいえば、相続手続きに税理士は必要です。その理由は、税に関する専門的なアドバイスは税理士にしかできないからです。

相続は、発生してから10か月以内に正しく申告と納税をする必要があります。個人でも申告と納税は可能ですが、それは相続人が一人しかいない、相続税申告に間違いがないと自信を持っているなどの場合です。

相続財産や相続人が複数の場合、相続税を正しく計算するのは大変なことです。個人で申告・納税したのちに、手続きのミスが発覚すれば加算税が発生する場合もあり得ます。

相続に関する専門知識がある税理士であれば、正しく申告してくれるだけでなく、節税対策なども同時におこなってくれます。

税理士が対応してくれる相続税関連の業務

相続が発生したとき、税理士に相談すべきケースは次のような場合です。

  • ● 相続人が複数いる
  • ● 相続財産に分割が難しい不動産や宝石が含まれる
  • ● 相続分を争っている
  • ● 準確定申告が必要である
  • ● 相続金額が大きく莫大な相続税を納める必要がある
  • ● 親族以外も相続に関わっている

準確定申告とは、被相続人が事業をおこなっている場合に発生します。死亡した年の所得税の申告のために相続人が事業に関する申告と納税をおこなうことを指します。期間は、被相続人が亡くなった日(相続の開始があったことを知った日)の翌日から4か月以内です。

そのため帳簿付けや確定申告の書類づくりなど確定申告に関する知識が必要です。税理士に依頼すれば、確定申告のアドバイスや必要書類の作成なども請け負ってくれるでしょう。

相続税の計算方法がわからない、相続をめぐってトラブルになる可能性が高いなど、自分で対応できないことが予想されるのであれば、税理士へ相談しましょう。

相続手続きを税理士に依頼すべき理由

相続手続きを税理士に依頼すべき理由は、次の5つです。

  • ● 手続きがスムーズに進む
  • ● 適正な財産評価をしてもらえる
  • ● 適正な税額算定をしてもらえる
  • ● 適切な節税対策がとれる
  • ● 税務調査の対象になる確率が低くなる

順に見ていきましょう。

手続きがスムーズに進む

申告のために何をすべきか調べるだけでも大変です。どのような書類をどこに行けば手に入るのか、どの項目の数字が必要で、どこに記入すべきかなど、仕事や育児の合間を縫って個人がおこなうには、かなりの時間と労力が必要になるでしょう。

それ以外にも財産の調査や評価、さらに遺産分割協議もおこなわなければなりません。税理士に依頼すれば、税に関する煩雑な手続きを任せることができ、相続をスムーズに進められます。

適正な財産評価をしてもらえる

相続税の申告では、すべての相続財産を評価したうえで相続税の計算をおこないます。預金や株式など、金額が明確であれば評価は簡単ですが、不動産や骨董品・宝石などは専門家による査定が必要です。

不動産や骨董品などを、本来の金額よりも高く評価してしまった場合は、相続税を過払いしてしまう可能性もあります。また正確な不動産の評価のため、時には現地調査をおこなったり、不動産鑑定士に正式に鑑定を依頼したりする必要も出てきます。

どれも専門知識が必要な作業なため、税理士に相談するのが賢明です。

適正な税額算定をしてもらえる

相続税が適正に計算されず、過少申告した場合、追徴課税が課されることもあります。逆に多く納税したとしても税務署は払い過ぎを指摘してはくれません。

しかし適正な税額かどうか個人で判断するのは困難です。税理士に依頼すれば、適正な相続税額を計算してもらえ、余計な支払いをせずにすみます。

適切な節税対策がとれる

相続に際して「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など、相続税を減額する特例や控除が存在します。

「小規模宅地等の特例」では、条件によりますが相続した土地の相続税評価額を最大80%減額できます。「配偶者税額軽減」では、配偶者の法定相続分相当か1億6000万円のいずれか大きい方の金額を差し引くことが可能です。

しかし控除や特例は適用条件が複雑で、自分がどの対象になるのかを見極めるのは困難です。税理士に依頼すれば、節税対策のアドバイスをしてもらえ、過度な相続税の負担を避けられます。

税務調査の対象になる確率が低くなる

相続税の申告書には、作成した税理士の署名欄があります。個人で作成した場合は、この部分が空欄になり、税務調査のターゲットとなる確率が高まります。

もちろん署名があるから税務調査の対象にならないわけではありません。しかし、仮に税務調査が入った場合も税理士に申告を依頼していれば、調査に立ち会ってもらうことも可能です。相続人に不利にならないよう対応してもらえるでしょう。

相続のときの税理士の選び方

残念ながら、すべての税理士が相続に強いわけではありません。ここでは依頼に適している税理士の特徴を次の4つにまとめました。

  • ● 相続税に関する専門性がある
  • ● 相続税の申告件数が多い
  • ● 相続の中でも特化した分野がある
  • ● ほかの専門家と連携しているか
  • ● 相続人の不安に寄り添える

順に見ていきましょう。

相続税専門を前面に出しているか

相続はそれぞれの人生において、それほど多く訪れるものではありません。税理士の多くは、確定申告などの業務をメインにしており、相続に関して詳しくないケースもあります。

税理士に依頼するのであれば、「相続税専門」を前面に掲げている税理士を選びましょう。相続に詳しくない税理士に依頼すると、適切な対処ができず、損をしてしまう可能性もあります。

相続税の申告件数がどれくらいあるか

「相続税専門」を掲げていない税理士だとしても、これまでの相続税申告数を確認してみましょう。実務経験が豊富であれば、相続に関するノウハウが蓄積されているはずです。

また税理士事務所によっては、「書面添付制度」を適用している場合もあります。「書面添付制度」とは、税理士法第33条の2に規定する書面添付制度と法第35条に規定する意見聴取制度を総称したものです。申告時に詳細な計算や財産調査の内容を記した書類を申告時に添付します。

この制度を採用していると、税務署でのチェックも円滑におこなわれ、税務調査がおこなわれた場合も担当税理士が意見を述べられます。「書面添付制度」を取り入れているかも、税理士選びのひとつのポイントになるでしょう。

参照:国税庁|計算事項等を記載した書面の添付

相続の中で特化している分野はあるか

国外に相続すべき財産がある場合や、農地の相続など特殊なケースも考えられます。特殊な相続に対応する必要がある場合は、その分野に専門性がある税理士を選びましょう。

ほかの専門家と連携しているか

相続に際して、税理士だけでは対応できないケースもあります。次のような手続きは司法書士が請け負う部分です。

  • ● 相続人調査
  • ● 遺産分割協議書の作成
  • ● 不動産の相続登記申請
  • ● 戸籍収集と相続関係説明図作成

また、相続不動産の価値を正確に査定するのは不動産鑑定士、遺産分割協議の調整や相続放棄、遺留分侵害額請求に関することは弁護士など、それぞれ専門家がいます。各専門家と連携している税理士であれば、さまざまなトラブルが発生したとしても安心です。

相続人の不安に寄り添えるかどうか

相続の際、相続人は不安な状態であることがほとんどです。そのため、単に申告業務をおこなうだけでなく、相続人の気持ちに寄り添ってくれる税理士を選びましょう。

相続に関する経験や実績も大切ですが、最終的には人柄や誠実さなどが感じられ、気軽に相談できる税理士にしましょう。

相続で税理士が必要になる場面

人によってさまざまですが、一般的に相続で税理士が必要になる場面について、以下のとおりにまとめました。

  • ● 評価が難しい財産が多いとき
  • ● 小規模宅地などの特例を適用するとき
  • ● 法定相続人が2人以上いるとき

順に見ていきましょう。

評価が難しい財産が多いとき

相続税の申告で難しいのが「財産評価」です。現預金の場合は、金額のままの評価で問題ありません。しかし、複雑な地形の土地や非上場株式などは評価が一律ではありません。また、現預金の場合も、生前に贈与した財産や引き出した預金などを考慮する必要があります。美術品や庭園設備も価値評価が難しい遺産の例です。適正な評価や申告は、税の専門家である税理士に任せたほうが賢明です。

小規模宅地等の特例を適用するとき

「小規模宅地等の特例」とは、相続税の土地評価額を最大80%減額させる特例措置です。宅地の種類ごとに適応面積や減額率が異なるため、専門知識がある税理士のアドバイスが必要です。控除の適用面積を超えた場合は、さらに計算が複雑になります。のちに税務調査を受け、ペナルティとならないためにも特例への正しい対応が重要です。

法定相続人が2人以上いるとき

法定相続人が2人以上いる場合、遺産分割協議をおこない、遺産分割協議書にまとめます。その際、遺産の適切な評価が必要です。適切な評価が下されたうえで、相続人同士で取り分を相談します。遺産分割協議書は相続人自身でも作成できますが、税の専門家である税理士に依頼すると抜け漏れがなく安心です。

相続で税理士に依頼するメリット

相続で税理士に依頼するメリットは次の4つです。

  • ● 申告作業がスムーズ
  • ● 適切な節税の提案
  • ● 申告ミス防止
  • ● 税務調査での立ち合い

順に見ていきましょう。

申告作業がスムーズ

相続税の申告は、相続が発生してから10か月以内に完了しなければいけません。申告までに、相続人の確定、遺産の正しい評価、遺産分割協議、協議書の作成など、やるべきことがたくさんあります。一連の手続きをプロである税理士に依頼すれば、スムーズに作業が行われ、時間な問題や心理的ストレスを受けずに済むでしょう。

適切な節税の提案

相続に際して税負担を軽減する特例などがあります。「小規模宅地等の特例」がその一例です。また、生前贈与など相続発生前にできる節税対策もあります。節税に関する専門知識を持つ税理士に相談すると、適切な提案をしてもらえるでしょう。

申告ミス防止

気をつけていても申告漏れが発生する可能性はゼロではありません。国税庁の「令和4年度における相続税の調査などの状況」によると、全国の申告漏れ相続財産で多いのが以下のとおりです。

1位:現金・預貯金など(69.1%)

2位:有価証券(10%)

3位:土地(2.8%)

「我が家には遺産などない」と思い込み、申告をしなかった場合も多く、無申告の比率が8割を超えています。申告漏れが発覚した場合は、延滞税や追徴課税などの対象となり、正しく申告した場合に比べ追加で納税しなくてはいけません。最初から税理士に依頼しておけば、申告漏れや申告ミスを防げるでしょう。

税務調査の立ち合い

税務調査は、納税者の税務申告後に申告内容が正しいかを調査するものです。税務調査には、税務署がおこなう「任意調査」と国税局がおこなう「強制調査」の2種類があります。

ほとんどの場合は、税務署による任意調査です。調査の際には、申告を担当した税理士に立ち会ってもらえます。事前に用意すべき書類や当日の交渉なども請け負ってもらえるため、税務調査にも安心して臨めるでしょう。

税理士に依頼した時の費用相場

税理士に相続税の申告を依頼する費用相場は、相続する遺産総額の0.5%~1.0%です。多くの税理士事務所では、ホームページで料金表を公開しているので、それを参考にしましょう。

ただし、実際に見積もりや申告作業を始めたのちに追加料金が加算される場合もあります。それが次のようなケースです。

  • ● 土地の評価が複雑(現地調査が必要)
  • ● 申告までの期間が短い
  • ● 遺産に非上場株式を含む
  • ● 相続税を物納する
  • ● 書類取得を代行依頼
  • ● 相続人数が多い

詳細な料金体系は税理士事務所によって違います。また報酬は、相続税の申告が完了したのちに確定することが多いのも事実です。基本報酬に加算報酬やそのほか報酬がプラスされることで、ホームページに掲げている料金と違っているケースもあります。

報酬額に納得がいかず税理士ともめないために、見積もりを確認しながら進めていきましょう。

司法書士との違い

税理士は税の専門家です。相続における税理士の主な業務は相続税申告のサポートとなっています。

一方、司法書士は登記の専門家です。相続不動産の名義変更・戸籍収集・遺産分割協議書の作成など、相続税申告以外の相続に関係する業務を担当します。

ただし、司法書士は相続税の申告はできないため、相続税申告義務が発生したら税理士に依頼する必要があります。反対に戸籍収集や遺産分割協議書の作成などは、専門家である司法書士に依頼したほうが費用が安く済むことが多いようです。

このように、それぞれ専門業務が分かれているため、すべてを税理士に任せることはできません。

滞りなく相続を進めるなら専門家に相談を!

相続が発生したら、相続に強い税理士に依頼しましょう。それと同時に相続に強い司法書士への依頼も必要です。

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監修者 税理士 棚田秀利